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【完全版】実家売却のステップ5つなど徹底解説!実家を処分したい方は必見!

親の死後 実家の売却方法
この記事で解決するあなたの悩み
  • 実家の売却ってどんな手続きが必要?
  • 売却するメリット・デメリットを知っておきたい
  • 税金や特例ってどうなってるの?

親が亡くなったり、施設に入ることになったとき、実家の処分を考える方は多いですよね。

でも、いざ「実家を売る」となっても、「どこから手をつければいいの?」「トラブルは起きない?」「後悔しない?」など、不安なことがたくさん出てきます。

そこで、相続や不動産売却の実務経験をもとに、実家売却に関する情報を網羅的にまとめました。

この記事でわかること
  • 実家売却の流れや必要な手続き、注意点
  • 売却時にかかる税金や活用できる節税特例
  • 売却以外の活用方法(賃貸・更地・民泊など)

特に今、実家の売却を検討しているあなたは、ぜひ最後までご覧ください。

将来の選択を冷静に、そして賢く判断するためのヒントが、きっと見つかるはずです。

目次

実家売却のステップ5つ

実家 売却

実家を売却する際には、手続きを順を追って行うことが重要です。

手順をしっかりと把握しておけば、スムーズに売却を進めることができます。

ここでは、実家売却のステップを5つに分けて、具体的に説明します。

ステップ①:不動産会社への売却相談

実家を売却する最初のステップは、不動産会社に相談することです。

ここでの目的は、実家の売却が可能か、そしておおよその相場価格を確認することです。

不動産会社を選ぶ際には、以下の点に注意して複数の会社に相談することが重要です。

チェック項目ポイント
売却実績実績が豊富な不動産会社は信頼できる。
地域密着型の会社地元に強い会社であれば、物件の売却活動もスムーズに進む可能性が高い。
相談しやすい担当者の有無担当者とのコミュニケーションがスムーズに取れるかどうかも重要。

不動産会社を決めた後は、売却に関する詳細を相談し、売却の方向性を確認しましょう。

ステップ②:媒介契約を結ぶ

不動産会社と相談をした後、次は媒介契約を結びます。

媒介契約は、売主と不動産会社の間で結ぶ契約で、実家の売却を依頼するためのものです。

媒介契約には3つの種類がありますが、一般的に「専任媒介契約」が選ばれます。

この契約を結ぶことで、その不動産会社が独占的に販売活動を行います。

契約の種類特徴
専任媒介契約1社に販売活動を任せる。契約後、他の業者に依頼できない。
一般媒介契約複数の不動産会社に依頼できるが、契約する全ての会社に通知が必要。
専属専任媒介契約1社に依頼するが、売主自身で買主を見つけた場合でも契約成立する。

不動産会社と契約を結んだ後、販売活動に向けた準備が進められます。

ステップ③:販売活動を行う

実家 売却

媒介契約を結んだ後、不動産会社は販売活動を開始します。

主な活動は以下の通りです。

  • 物件情報のインターネット掲載
  • 購入希望者との内覧調整
  • 販売価格の設定や交渉

不動産会社によって、マーケティング方法や販売戦略が異なるため、複数の不動産会社から査定を受けることが重要です。

これにより、より正確な価格設定ができ、売却のスピードも向上します。

ステップ④:売買契約を締結する

実家 売却

購入者が見つかり、価格に合意が得られたら次は売買契約を結びます。

この契約書には、売却価格、引き渡し日、手付金など、取引の詳細が記載されます。

売買契約の際には、以下の書類が必要です。

必要な書類詳細
身分証明書運転免許証やパスポートなど、本人確認ができる書類。
登記済権利証不動産の所有権を証明する書類。
住民票の写し現住所を証明するための書類。
契約書のサイン・捺印取引の合意を示す重要な手続き。

契約前に必ず契約内容を確認し、不明点があれば担当者に質問しましょう。

ステップ⑤:契約後の引っ越し・決済を完了する

実家 売却

売買契約が締結されたら、引き渡しと決済を行います。

引き渡し前に、実家に住んでいる場合は引っ越しを完了させ、家を空にしておく必要があります。

決済は通常、買主から支払われた代金を受け取る手続きで、これをもって実家の売却が完了します。

決済後には、登記が完了し、実家の名義があなたから買主へと変わります。

引き渡し前に確認する必要な書類と手順は以下の通りです。

必要書類詳細
引き渡しに必要な書類物件の鍵、リフォームの有無、必要な設備等を整理しておく。
支払いに関する書類決済時に必要な支払い明細、領収書を準備しておく。

実家を売却する前に知っておくべきこと

実家 売却

相続の始まりは、実家を所有していたご両親が亡くなった時点で開始されます。

たとえ病院で寝たきり状態であっても、生きていれば実家の権利は親のものなので、亡くなるまでは手を付けることはできません。

認知症で意思表示できない場合も、同様に売却の話を進めることはできませんので注意しましょう。

実家を売却するには相続の手続きが必要です。
以下の内容をしっかりおさえておきましょう!

売却前に知っておくべきこと①遺産相続の手続きについて

実家 売却

まず、家の売却前に行われる相続の基本的な流れについて知っておきましょう。

STEP
相続の開始

被相続人(親)が亡くなると、相続の開始となります。

STEP
相続人が誰であるか確認

相続人が誰であるかを確認します。基本的にはもう1人の親と子どもです。しかし両親が亡くなった場合は、子どもが遺産を等分します。

STEP
遺言書の確認

被相続人が残した遺言書の有無を確認します。これについては後に詳しく解説します。

STEP
相続税を算出する

遺産の資産評価を行い、相続税の税額を算出します。実家がある場合、相続税は当然に発生します。

STEP
遺産分割協議で分割方針の決定

相続人同士で遺産分割協議を行い、遺産をどのように分けるかを決定します。全員が合意したら、遺産分割協議書を作成します。

STEP
相続税の申告・納付を行う

最後に相続財産の名義変更や相続税の申告・納付を行います。申告期限は相続開始から10ヶ月以内です。相続税が払えずに、土地や建物を売る場合も珍しくありません。

STEP
家の名義変更

家を本人名義でなければ売却ができません。家の所有者を親から相続人へ正式に名義変更する必要があります。名義変更に必要な書類を提出し、手続きが完了となります。

これらの手続きが全て完了したら、家の売却に進みます。

上記の流れをスムーズに行うには、とても専門的な知識が必要であり、弁護士や司法書士、あるいは税理士と相談しながら進めるのがベターです。

上記の流れの中でポイントになる項目をさらに詳しくお伝えします。

ポイント①遺言書があるか確認

実家 売却

法定相続割合

相続人法定相続分
配偶者と子供の場合配偶者1/2、子供1/2
配偶者と直系尊属配偶者2/3、直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹の場合配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
※直系尊属とは親を指します

親が亡くなったときに「遺言書」があるのとないのでは大きな違いになります。

遺言書があれば基本的に遺言書通りに遺産が分割され、遺言書がないと、上記の表の「法定相続割合」に応じて遺産が分割されます。

  • 父が亡くなった場合
    母と子どもがいれば半分ずつ相続
  • 両親ともに亡くなった場合
    子どもだけで相続
  • 配偶者(親)が既に他界、相続人が子供3人の場合
    子供の3分の1ずつの持ち分割合で共有される
  • 配偶者(親)が既に他界、一人っ子の場合
    すべての親の財産を相続

ポイント②相続人の確認

実家 売却

親が亡くなった場合、実際に親の財産を誰が相続するのか(できるのか)を確認することが重要です。

後から「自分も相続人だ」という人が現れて骨肉の争いになってはいけません。

親が急に亡くなった場合は、悲しみの中葬儀などを行い、相続関係についても確定させなければなりません。

可能ならば親が元気なうちに話し合い「公正証書遺言」という形で、公証役場で遺言を作成することをおすすめします。

ポイント③生前贈与という方法で問題を解決することもできる

親が亡くなる前に「生前贈与」という形で、実家の所有権を子どもに変更するとも可能です。

ただし、親がまだ実家に住んでいる段階で処分はできません。

実際には普通の家庭が行うというより、大家さんなどが不動産を子どもに生きているうちに譲り、管理を任せるようなケースで用いられます。

この場合、贈与で得た利益(110万円以上)には「贈与税」がかかり、譲り受けた側は納税の義務が発生します。

売却前に知っておくべきこと②相続税の計算と納税

実家 売却
相続税の基本知識

相続税とは、親などの死亡時に財産を相続する際に課される税金のこと。

相続税は一定の財産額を超えた場合に課される税金で、資産の再分配や経済格差の縮小を目的としています。

近年、相続税の課税範囲が広がってきているのが特徴です。

実家を相続することになった場合、実家の土地建物に見合った相続税を支払います。

それ以外の財産も相続した場合、その分の相続税も上乗せされます。

現状、相続税をねん出するために実家を処分し、売却するといったケースが多くなっています。

実家の評価額と相続税の計算方法

相続税とは、亡くなった方から遺産を相続や遺贈で受け取った人が、その遺産の評価額に応じて支払う税金です。

ただし、遺産の正味額が基礎控除額を下回る場合は、相続税は発生しません。

この基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

実家 売却

上記のような場合、基礎控除額は5400万円です。

被相続人の預貯金や不動産などの相続財産の課税価格が、5400円以下の場合は相続税が発生しません。

相続税の申告と納付方法

実家 売却
国税庁HP

相続税を支払う場合「相続税の確定申告」を行います。

ふるさと納税や医療費控除の確定申告よりもかなり手間がかかるため、通常は税理士にお願いするケースが多いでしょう。

相続税の確定申告後の税務調査は、通常の法人や個人事業主の確定申告よりも入りやすいという話もあります。

相続税を支払う必要がある場合は、税理士に相談した方がよいでしょう。

売却前に知っておくべきこと③相続税以外にかかる税金について

実家 売却
相続税以外にかかる税金
  1. 不動産取得税
  2. 登録免許税
  3. 固定資産税

実家の不動産を相続した場合、発生する税金は相続税だけではありません。

相続税以外にかかる税金をまとめました。

①不動産取得税(課税されない場合が多い)

不動産取得税は、不動産を取得した際に課される税金です。

営利目的で不動産を売買した時に発生します。

相続による取得の場合は原則として非課税です。

相続は営利目的ではなく、家族が亡くなることで半強制的に発生し避けられないからです。

相続においては通常、不動産取得税はかからないので、ここはあまり気にしなくて大丈夫ですよ。

②登録免許税

相続登記、名義変更のために法務局へ支払う手数料です。

相続により不動産の所有権名義が移転する場合、登記手続きを行う必要があります。

この登記に際して登録免許税が発生します。

相続の場合:相続人への遺贈の場合は不動産評価額の0.4%

基本的に印紙を買って貼付しますが、オンライン登記申請の場合はそれ以外の納付も可能です。

③固定資産税

相続後、毎年発生する税金として固定資産税があります。

固定資産税は、所有している不動産に対して課されるもので、実家がある市区町村から課税案内が来ます。

固定資産税は毎年1月1日現在の固定資産評価をもとに課税されます。

親が亡くなり相続登記が終わらない中では「相続人・現所有代表」ということで仮の相続人で課税案内が行きます。

実家の不動産がある以上、払わなくて済む選択肢はありません。

税金は複雑ですが、相続時精算課税制度やさまざまな控除制度を用いることで、各種税金を下げられます。

相続に詳しい税理士に相談しながら進めると、トータルでも相当な節税につながるでしょう。

売却前に知っておくべきこと④実家の名義変更について

実家 売却

親の土地や家は、自分の名義でないと売却することはできません。

相続で受け継いだあとは、相続登記によって不動産の名義変更をしましょう。

相続登記は相続開始(亡くなった日)から3年以内が義務です。

相続から3年以内に登記を行わないと10万円以下の罰則が科されます。

以下、名義変更の手続きの流れや、必要なものについてお伝えします。

①名義変更の手続き

名義変更の手続きは以下のような流れになります。

STEP
必要書類を集める

以下で詳しく説明します。

STEP
登記申請書の作成

自分で作成します。

STEP
不動産の所在地(実家のある場所)を管轄する法務局にて登記申請
STEP
登記完了後、登記識別情報などの書類を法務局から受領

実家だけの名義変更や相続登記であれば、自分でも手続きすることも可能です。

しかし、複雑な手続きが多いため司法書士に依頼するのがベターでしょう。

不動産仲介業者に相談すれば紹介してもらえる場合もありますよ。

②名義変更に必要な書類と料金

実家の名義変更に必要な書類は以下の通りです。

入手方法必要書類
市町村役場・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍
・各相続人の現在の戸籍
・不動産を相続する相続人の住民票
・亡くなった方の住民票除票または戸籍の附票(登記上の住所とのつながりが分かるもの)
・法定相続以外の割合で名義変更する場合は、遺産分割協議書
・遺産分割などを行っている場合は、各相続人の印鑑証明書
・対象となる不動産の固定資産評価証明書
自分で作成・登記申請書
・遺産分割協議書
法務局不動産の登記事項登録証明書
(登記申請書を作成するために必要)

③名義変更にかかる費用

名義変更にかる費用

  1. 登録免許税
  2. 必要書類の費用
  3. 司法書士の費用

名義変更の登記にかかる登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。

戸籍などの収集に必要な費用は1通300円~750円×必要枚数分で、司法書士に登記手続きを依頼した場合は、およそ10万~15万円程です。

実家の名義変更について詳しい手続きは法務局がまとめています。

こちらも合わせてご覧ください。

相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)

実家を売却するデメリット5選

実家 売却

実家を売却する際には、もちろんメリットもありますが、デメリットも存在します。

事前にデメリットをしっかりと把握しておくことで、後悔のない決断ができるでしょう。

ここでは、実家を売却する際に考えられるデメリットを5つ紹介します。

デメリット①:売却後の税金負担が高くなる可能性

実家を売却すると、譲渡所得税が発生する可能性があります。

特に、実家を購入した金額と売却価格に差がある場合、その差額に対して課税されることになります。

また、相続で取得した不動産に関しては、取得費を証明できない場合があり、その場合には一律で5%の取得費を適用されるため、予想以上に高い税金が課せられることもあります。

税金負担の目安

条件説明
譲渡所得税売却益に対して課せられる税金。
取得費不明の場合一律5%の取得費が適用される。
相続税相続時に課税される税金が後に影響することがある。

この税金負担を抑えるためには、事前に税理士に相談して税額を把握することをお勧めします。

デメリット②:想定よりも売却価格が低くなることがある

実家の売却価格は、購入時の価格と大きく異なることがあります。

特に、築年数が経過している物件や立地条件が良くない場合、売却価格が低くなるリスクがあります。

売却価格が下がる要因として、以下の点が考えられます。

  • 市場の需要と供給: 市場における需要が少ないと価格が下がることがある。
  • 不動産の状態: 古くて修繕が必要な場合、売却価格が低くなる。
  • 立地条件: 交通が不便であったり、周辺施設が不足している場合、価格が低くなる。

売却価格に影響する要因

要因詳細
市場の需要売却時期や経済状況によって価格が変動。
不動産の状態修繕が必要な物件や古い建物は価格が下がる。
立地条件交通の便や周辺環境によって売却価格が変動。

市場動向を確認し、相場を把握することが大切です。

デメリット③:売却手続きに時間がかかる場合がある

実家の売却は、スムーズに進まない場合があり、時間がかかることがあります。

例えば、売却希望者が見つからなかったり、価格交渉が長引く場合があります。

また、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議が完了するまで売却が進められないこともあります。

売却手続きにかかる時間の要因

要因詳細
買い手が見つからない市場の需要が低い場合、買い手を見つけるのに時間がかかる。
価格交渉希望価格と買主の提案額の差で交渉が長引くことがある。
遺産分割協議相続人が複数いる場合、協議に時間がかかることがある。

時間がかかると、不安やストレスも大きくなるため、早めに準備を始めることが重要です。

デメリット④:感情的な負担を感じることがある

実家の売却には、感情的な負担が伴うことがあります。

特に長年住んだ家や思い出が詰まった家を手放すことに対して、寂しさや後悔の気持ちが生まれることがあります。

このような感情的な負担は、以下の要因で強く感じられることがあります。

  • 思い出が詰まった家: 親との思い出や子供時代の思い出が残っているため、売却に抵抗感を持つことがある。
  • 家族間の意見の不一致: 家族全員が売却に賛成するわけではないため、意見が分かれることがある。

感情的負担の軽減方法

方法詳細
家族との話し合い家族間で売却について十分に話し合い、共通の理解を持つ。
思い出を写真に残す家を売る前に、思い出の品や風景を写真に残して心の整理をする。

感情的な負担を軽減するためには、家族と一緒に売却の意義や理由を話し合い、納得した上で進めることが大切です。

デメリット⑤:売却後の不動産の管理が面倒になる場合

実家を売却した後も、その管理が面倒になることがあります。

特に、空き家となった実家の維持管理が必要です。

放置しておくと、老朽化や近隣とのトラブルの原因となることもあります。

以下は、売却後の管理に関する要点です。

  • 空き家管理: 売却後に空き家が長期間放置されると、建物が老朽化しやすくなる。
  • 維持費用: 売却が完了するまでにかかる維持費や管理費が発生することがある。

管理方法と注意点

方法詳細
空き家管理空き家を放置せず、定期的に清掃や点検を行う。
維持費売却までの期間、管理費や税金がかかることを考慮する。

これらの管理方法を考慮し、早めに専門業者に依頼するなどの対策を取ることが必要です。

実家を売却するメリット5選

実家 売却

実家の売却にはさまざまなメリットがあります。

相続や維持管理に関する負担が軽減されるだけでなく、金銭的な利益を得ることもできます。

ここでは、実家売却のメリットを5つ紹介します。

メリット①:相続税対策として有効

実家を売却することで、相続税対策に繋がる場合があります。

特に相続財産が多い場合、不動産の評価額が高いため、相続税の負担が増えてしまうことがあります。

実家を売却し現金にすることで、評価額の圧縮が可能となり、相続税を軽減できる場合があります。

相続税軽減の例

説明
不動産売却による現金化現金を残すことで、相続税の基礎控除範囲内に収めることができる場合がある。
住宅ローン控除売却後の資産整理が進むことで、控除を受けられる場合もある。

実家を売却する前に、税理士に相談して、相続税の軽減方法を確認しておくことをお勧めします。

メリット②:維持費や管理の負担がなくなる

実家を売却することにより、固定資産税や修繕費、保険料といった維持費を抑えることができます。

特に空き家となった実家の管理は、定期的な清掃や点検が必要であり、手間や費用がかかります。

売却することで、これらの負担から解放されるため、経済的・時間的に楽になります。

維持費の例

費用項目説明
固定資産税実家を所有している限り発生する税金。
管理費空き家の点検や清掃のためにかかる費用。
保険料不動産保険や火災保険などの費用。

これらの維持費を削減することで、より効率的に資産を活用することが可能です。

メリット③:売却益を得られる可能性

実家を売却することで、売却益を得ることができます。

特に、購入時よりも不動産の価値が上がっている場合、売却益は大きくなる可能性があります。

売却益を得たお金は、他の用途に使うことができるため、資産運用や生活費に充てることができます。

売却益の活用例

活用方法詳細
新しい不動産購入売却益を元手に新しい家を購入することができる。
資産運用売却益を投資に回し、さらに増やすことができる。
生活費生活費の充実や子供の教育資金に充てることができる。

売却益を得ることで、経済的に余裕が生まれ、より良い生活設計をすることが可能です。

メリット④:空き家によるトラブルを避けられる

空き家が長期間放置されると、近隣住民とのトラブルや不法侵入などのリスクが高まります。

また、老朽化が進んだ建物は、倒壊や火災などの事故の原因になることもあります。

実家を売却することで、これらのリスクを避けることができ、トラブルを未然に防げます。

空き家管理によるリスク

リスク詳細
不法侵入空き家が荒れていると、不審者が侵入する可能性がある。
近隣とのトラブル草木が生い茂るなど、近隣住民とのトラブルを招くことがある。
老朽化放置すると、建物が老朽化し、倒壊などの事故が発生するリスクが高い。

実家を売却することで、こうしたリスクから解放されるため、安心して生活することができます。

メリット⑤:転居や資産整理が進む

実家を売却することで、転居や資産整理がスムーズに進みます。

親が施設に入った場合や他の場所に住む場合、実家の売却を決断することで、住む場所や資産を整理しやすくなります。

また、売却後は新たな生活をスタートしやすくなり、生活がシンプルになります。

資産整理の例

活用方法詳細
転居実家を売却して、新しい住まいに移ることができる。
資産整理不要な不動産を売却して、余分な資産を整理することができる。
簡素な生活実家を売ることで、生活が簡素になり、心の整理が進む。

売却することで、整理された新しい生活が始められるので、心の整理や物理的なスペースが整います。

実家売却で後悔しやすい理由5つ

実家 売却

実家の売却は、感情的な面や金銭的な面で後悔を生じることがあります。

ここでは、実際に多くの人が実家を売却後に感じた後悔の理由を5つ紹介します。

後悔の理由①:感情的に実家を手放すことが難しい

実家は長年の思い出が詰まった場所であり、親の思い出や家族の歴史があるため、手放すことに感情的な負担を感じることがあります。

特に、両親が亡くなった後に実家を処分する場合、感情的なつながりが強いため、売却後に「もっと早く決断すべきだったか」と後悔することがあります。

感情的な後悔の対策

  • 実家を売却する前に、家族とよく話し合い、思い出の品を整理・保管する。
  • 売却後も思い出の場所として写真やビデオを残しておく。

後悔の理由②:不動産市場が下落している時期に売却してしまった

不動産市場は常に変動しており、市場が下落しているタイミングで実家を売却すると、予想よりも低い価格で売れてしまう可能性があります。

売却後に不動産価格が上昇し、後悔することも多いです。

不動産市場の変動対策

売却前の確認事項詳細
不動産市場の調査地元の不動産市場が上昇傾向にあるか下落傾向にあるかを調べる。
市場のタイミングを見極める経済動向や金利の変化を注視し、売却時期を選ぶ。

市場の動向を把握し、最適なタイミングで売却を検討しましょう。

後悔の理由③:売却後に後悔の気持ちが湧いてきた

実家を売却した後、売却後に住む場所が変わることで生活が変わり、改めて実家の存在の重要性を感じることがあります。

「もっと住み続けたかった」「引っ越す必要はなかったのではないか」と思うことがあるかもしれません。

事前に後悔を防ぐ方法

  • 生活の変化に備えて、引っ越し後の生活設計をしっかりと立てる。
  • 新しい住まいでの生活に不安がないよう、予め地域の情報を収集する。

引っ越し後の生活に安心感を持つことで、後悔を減らすことができます。

後悔の理由④:相続人とのトラブルが生じた

実家を売却する際、相続人が複数いる場合には、売却の決定について意見が分かれることがあります。

売却後にトラブルが発生し、家族間で感情的な摩擦が生じることがあるため、事前に協議を行わずに売却を進めることは後悔の原因となることがあります。

相続人間での協議方法

  • 売却前に全員の意見をしっかりと確認し、納得できる形で協議を行う。
  • 協議が難航する場合は、第三者の専門家(弁護士、司法書士など)に相談する。

相続人間で合意を得ることで、後悔を避け、スムーズに売却を進めることができます。

後悔の理由⑤:売却価格が予想よりも低かった

売却価格が予想よりも低かった場合、特に価格設定に対する不満が後悔の原因になります。

不動産会社の査定額や相場に対して、過大な期待を抱いて売却を進めてしまうと、実際に売却した価格に満足できなくなってしまうことがあります。

価格設定の適切な方法

ポイント詳細
複数の不動産会社に査定を依頼複数社の査定額を比較し、相場を正確に把握する。
査定結果に納得したうえで売却不安な場合は、再度査定を依頼して確認する。

複数社の査定を受け、納得のいく価格設定を行うことで、後悔を防ぐことができます。

実家の売却で後悔しないための注意点5つ

実家 売却

実家を売却する際、後悔を避けるためには慎重な計画と準備が重要です。

ここでは、実家の売却で後悔しないための注意点を5つ紹介します。

注意点①:感情的な決断を避け、冷静に判断する

実家は思い出が詰まった場所であるため、感情的に決断してしまいがちです。

しかし、売却は金銭的な側面も大きいため、感情だけで決めるのは後悔の元になります。

売却を決める際は、家族とよく話し合い、冷静に判断しましょう。

感情的な決断を避ける方法

  • 事前に家族と何度も話し合い、意見を共有する。
  • 物件の実際の価値や市場の状況をよく調べ、感情に流されないようにする。
  • 専門家に相談して、客観的なアドバイスを受ける。

注意点②:市場調査をして売却価格の相場を確認する

不動産市場は時期や場所によって異なります。

市場調査を行い、実家の相場価格を正確に把握することが重要です。

過大な期待を抱いて売却を始めると、価格設定で後悔することがあります。

市場調査の方法

方法詳細
複数の不動産会社に査定を依頼複数社の査定額を比較し、正確な市場価値を把握する。
成約事例を調べる同じエリアでの過去の成約事例を確認することで、相場を予測する。

市場調査をしっかりと行うことで、適正な価格で売却を進めることができます。

注意点③:売却前に十分に遺産分割協議を行う

相続した実家を売却する場合、遺産分割協議が必要です。

売却前に相続人全員で十分に話し合い、売却に対する合意を得ることが重要です。

これを怠ると、後でトラブルが発生する可能性があります。

遺産分割協議を円滑に進める方法

  • 早期に相続人全員で集まり、売却についての意見交換を行う。
  • 弁護士や司法書士を交えて、法的なアドバイスを受けながら進める。
  • 協議が難航する場合は、調停など第三者機関に相談する。

遺産分割協議をしっかりと行い、全員の合意を得ることで、スムーズに売却を進めることができます。

注意点④:不動産会社選びを慎重に行う

不動産会社の選び方は、売却の成功に大きな影響を与えます。

信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。

適切な会社を選ばないと、売却活動が遅れるだけでなく、売却価格にも影響が出る可能性があります。

不動産会社選びのポイント

チェック項目詳細
実績や評判売却実績が豊富で、評判の良い不動産会社を選ぶ。
地元に強い会社地元密着型の会社は地域の市場に詳しく、スムーズに販売活動を行える。
担当者との相性担当者が親身になって対応してくれるか、コミュニケーションが円滑に取れるかを確認する。

複数の不動産会社に相談し、自分に合った会社を選びましょう。

注意点⑤:税金や費用について事前に確認しておく

実家の売却には、税金や費用が発生します。

売却後に驚かないためにも、事前に必要な費用を把握し、計画的に進めることが重要です。

特に譲渡所得税や仲介手数料など、売却に伴う費用をしっかりと確認しておきましょう。

事前に確認すべき税金や費用

税金・費用詳細
譲渡所得税売却益が発生した場合にかかる税金。
仲介手数料不動産会社に支払う手数料。
登録免許税名義変更の際にかかる税金。
固定資産税不動産を所有している場合にかかる税金。

税金や費用は売却前にしっかりと確認し、予算を立てておくことが後悔を防ぐために重要です。

相続した実家の売却で利用できる特例5つ

実家 売却

相続した実家を売却する際には、税負担を軽減できる特例がいくつかあります。

これらの特例を上手に活用することで、相続税や譲渡所得税を軽減することができ、よりお得に売却することができます。

ここでは、実家の売却時に利用できる特例を5つ紹介します。

特例①:小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」は、相続した土地の評価額を最大80%減額できる特例です。

特に、被相続人が住んでいた自宅の土地や、相続人が住む予定の土地に適用されます。

これにより、相続税の負担を大きく減らすことが可能です。

適用条件

  • 相続人が住む予定の土地(自宅)に適用される。
  • 土地の面積が特定の範囲内である(330㎡までが上限)。
  • 適用を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。

特例②:被相続人の空き家(居住用財産)の譲渡所得の特別控除

相続した実家が空き家である場合、この特例を使うことで、譲渡所得から最大3000万円を控除できます。

つまり、相続した空き家を売却した際に得られた利益に対して、3000万円まで控除を受けられるため、税負担が大幅に軽減されます。

適用条件

  • 相続後に実家が空き家状態であること。
  • 売却前に自宅として住んでいたことがあること。
  • 売却金額が1億円以下であること。

特例③:相続財産を譲渡した場合の取得費加算

相続によって取得した不動産を売却する場合、取得費が不明であることがあります。

この特例を活用することで、相続時に支払った相続税を「取得費」として加算でき、譲渡所得税を軽減することができます。

適用条件

  • 相続によって取得した不動産を譲渡する場合に適用。
  • 相続税の納付が完了していること。
  • 売却する不動産が相続から3年10ヶ月以内であること。

特例④:軽減税率(10年超所有の場合)

所有している不動産が10年以上経過している場合、譲渡所得に対して軽減税率が適用される特例です。

通常、譲渡所得税は売却益に対して20%前後ですが、この特例を利用すると、税率が軽減されます。

適用条件

  • 不動産の所有期間が10年以上であること。
  • 居住用財産であることが望ましい。
  • 売却後の所得税が軽減される仕組みです。

特例⑤:空き家特例

「空き家特例」は、相続した空き家を売却する際に適用される特例です。

この特例を利用すると、譲渡所得から最大3000万円を控除できるため、売却時の税負担が軽減されます。

適用条件

  • 相続した空き家であること。
  • 売却前に一定期間以上住んでいないことが必要。
  • 空き家での売却は最大3000万円の控除が可能。

実家売却の際にかかる主な税金5つ

実家を売却する際には、複数の税金が発生します。

特に利益が出るケースでは税額が高額になることもあるため、売却前にしっかりと確認しておきましょう。

ここでは、売却価格3,000万円の実家を例に、それぞれの税金について具体的な金額とともに解説します。

税金①:譲渡所得税

実家 売却

譲渡所得税は、家を売って得た利益(=譲渡所得)にかかる税金です。

譲渡所得とは、「売却価格 − 取得費 − 譲渡費用」で算出されます。

  【試算条件(例)

  • 売却価格:3,000万円
  • 取得費(購入価格):1,500万円
  • 譲渡費用(仲介手数料など):100万円
  • 譲渡所得:1,400万円
  • 所有期間:5年超(長期譲渡所得)

    適用税率(長期)
  • 所得税:15%
  • 住民税:5%
  • 復興特別所得税:0.315%(所得税の2.1%)

    【計算
    譲渡所得1,400万円 × 税率20.315% = 約284万円

※「3,000万円の特別控除(マイホーム特例)」が使える場合、譲渡所得がゼロとなり課税されないこともあります。

税金②:相続税

実家 売却

相続税は、実家を相続した時点で課される税金です。

基礎控除額を超える相続財産がある場合に発生します。

 【基礎控除額の計算式】
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円。
(相続財産がこれを超えると課税対象。)

仮に課税対象の評価額が5,000万円、税率15%とした場合】
(5,000万円 − 4,200万円)× 15% = 120万円

※小規模宅地等の特例などを活用すれば、税額は抑えられる可能性があります。

税金③:登録免許税

実家 売却

登録免許税は、不動産の名義変更(相続登記)を行う際に発生する税金です。

計算式】
固定資産税評価額 × 0.4%(相続の場合)

例:固定資産税評価額が2,000万円のケース】
2,000万円 × 0.004 = 8万円

※司法書士に依頼する場合、これに加えて手数料(3〜7万円程度)が発生します。

税金④:印紙税

実家 売却

売買契約書を作成する際にかかる税金です。

契約書に貼付する収入印紙で納税します。

印紙税の目安(不動産売買契約書)

契約金額印紙税額
1,000万円超~5,000万円以下1万円
5,000万円超~1億円以下3万円

※3,000万円で売却した場合は印紙税「1万円」が発生します。

税金⑤:消費税

実家 売却

不動産の売却自体には基本的に消費税はかかりません。


だし、以下のようなケースでは消費税が発生します。

  • 売却物件が「店舗」や「事業用建物」の場合
  • 相手が不動産業者など事業者で、建物に消費税課税対象がある場合

また、司法書士報酬や仲介手数料など、付随費用には消費税(10%)がかかります。

例:仲介手数料100万円 → 消費税10万円が加算され110万円

実家売却でかかる税金の合計額(例)

実家 売却
税目金額(概算)
譲渡所得税約284万円(※特例なしの場合)
相続税約120万円(※試算)
登録免許税約8万円
印紙税1万円
消費税(付随費用)約10万円(仲介手数料など)
合計約423万円

※特例や控除を使うことで、実際には大きく軽減される可能性があります。

税金は売却のタイミングや相続の内容によって大きく異なるため、早めに司法書士や税理士に相談することをおすすめします。

特に「3000万円特別控除」や「取得費加算の特例」などを使えるかどうかで、最終的な税負担は大きく変わってきます。

実家売却以外に検討するべき方法4つ

実家 売却

実家を必ずしも売却する必要はありません。

情的な理由や経済的な事情により、別の方法を検討する方が合っているケースもあります。

ここでは、「売らない」選択肢として代表的な4つの方法を紹介します。

方法①:賃貸にして他人に貸し出す

実家を第三者に賃貸物件として貸し出す方法です。

定期的な家賃収入が得られるため、資産を手放さずに収益化できるのが大きなメリットです。

メリット
  • 家賃収入を得られる
  • 資産として保持し続けられる
  • 家を残したいという気持ちを尊重できる

【注意点】

  • 修繕や設備の維持費が発生する
  • 入居者トラブルのリスク
  • 空室リスクがある

年間収益シミュレーション例

家賃(月額)年間家賃収入管理費・修繕費実質収益(目安)
7万円84万円約20万円約64万円

不動産会社に管理を任せる「管理委託契約」も選択肢のひとつです。

方法②:更地にして土地を売却する

建物を解体して更地にし、土地として売却する方法です。

建物が古く劣化している場合、土地単体で売る方が買い手が見つかりやすいことがあります。

メリット
  • 建物が古すぎる場合でも売却しやすい
  • 使い道の自由度が高まり、需要が増える

【注意点】

  • 解体費用がかかる(目安:30〜80万円/坪)
  • 更地にすると固定資産税が高くなる可能性がある

解体費用の目安(建物30坪の場合)

構造単価(坪)合計費用
木造住宅約4万円約120万円
鉄骨住宅約5万円約150万円

解体後の売却価格が十分見込めるか、事前に不動産会社に査定してもらいましょう。

方法③:実家に引っ越す

自分や家族が実家に移り住むことで、資産としての活用が可能です。

住まいとして再活用することで固定費(家賃など)を抑えることもできます。

メリット
  • 思い出のある実家に住み続けられる
  • 家賃負担を軽減できる
  • 空き家リスクが解消される

【注意点】

  • 立地や通勤通学に不便があると生活に支障が出る
  • リフォーム費用がかかる可能性あり

リフォーム費用の目安

  • 水回り全体(キッチン・風呂・トイレ):150万~300万円
  • 内装・外装含めフルリノベ:500万~1,000万円以上

実家の老朽度によっては大規模なリノベーションが必要になることもあります。

方法④:民泊にする

近年では、実家を民泊物件(Airbnbなど)として活用するケースも増えています。

観光地やイベント会場に近いエリアでは、高収益が見込める場合もあります。

メリット
  • 観光需要が高ければ高収入も期待できる
  • 不定期の使用も可能(自分が泊まることも可)
  • 短期利用なので賃貸よりトラブルが少ないことも

【注意点】

  • 許認可(住宅宿泊事業法など)が必要
  • 清掃や運営管理の手間がかかる
  • 地域住民とのトラブルリスク

月間収益イメージ(1泊8,000円 × 稼働20日)

  • 月収:16万円
  • 年収:192万円

ただし、空室リスクや運営コストもあるため、業者委託なども視野に入れましょう。

実家処分でトラブルを避けるポイント3つ

実家 売却

実家の処分には感情・法律・お金が絡みます。

そのため、少しのすれ違いが大きなトラブルに発展してしまうことも少なくありません。

ここでは、実家処分時に「家族間トラブルを避けるための3つの重要ポイント」を解説します。

ポイント①:共有名義で処分する場合は手残りの確認をする

実家が複数人の共有名義になっている場合、売却代金は名義割合に応じて分配されます。

しかし、実際に手元に残る金額(手残り)を事前に把握しておかないと、後々「そんなに少ないの!?」というトラブルになりかねません。

【手残り金額の確認に必要な要素】

  • 売却予定価格
  • 仲介手数料(通常:売却価格の3%+6万円+消費税)
  • 登録免許税・印紙税などの諸経費
  • 住宅ローン残債(ある場合)
  • 名義人ごとの持ち分比率

手残りシミュレーション(例)

項目金額(目安)
売却価格2,500万円
仲介手数料(3%+6万円)約90万円
登録免許税・印紙税等約15万円
残ローン500万円
実質手残り約1,895万円
共有名義者が2人(1:1)1人あたり 約947万円

このように、手取り額を明確にしておくことで不満や誤解を防ぐことができます。

ポイント②:遺産分割で意見が不一致なら調停を行う

実家が相続財産に含まれている場合、相続人間での話し合い(遺産分割協議)が必要です。

しかし、感情や立場が入り混じり、意見がまとまらないケースも珍しくありません。

その場合は、早めに家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てるのが得策です。

メリット

【調停を活用するメリット】

  • 第三者(調停委員)が中立的に進行してくれる
  • 話し合いが感情的になりすぎず、建設的に進められる
  • 相続トラブルの長期化を防げる

調停はあくまで話し合いの場ですが、合意に至らない場合は「審判」という強制力のある判断に移行することになります。

いずれにせよ、もつれた話を早めに整理するためには、法的手続きの選択肢を検討しましょう。

ポイント③:困った場合は専門家に相談する

相続・売却・税金・書類手続きなど、実家処分には専門的な知識が必要な場面が多くあります。

無理に自力で進めようとすると、手続きの漏れや税務トラブルを招いてしまう可能性も。

困った時に相談できる専門家とその役割

専門家相談内容の例
弁護士相続トラブル、遺産分割協議の代理交渉など
司法書士名義変更、登記関連手続き
税理士相続税・譲渡所得税などの税金相談
不動産会社実家の売却、賃貸、活用のアドバイス

早めに専門家に相談すれば、判断に迷う場面でも安心して処分を進めることができます。

また、家族同士のコミュニケーションも円滑になり、トラブル回避にもつながります。

実家を売却する準備

実家 売却

実家を売却して処分したい場合、所定の準備が必要になります。

家の郵便受けに「不動産処分希望の方、高価で買い取ります」といったチラシを目にしたこともあるかと思いますが、そのような業者にお願いしなくても、準備をすれば自分で実家の処分ができますので安心してください。

ここでは、不動産を売却する前に準備することをお伝えします。

売却準備①実家の市場価値(相場)の把握

イエウールの無料査定

実家を処分する際に高く売れることに越したことはありません。そのため事前に実家がどのくらいで処分・売却できるのか把握しておきましょう。

不動産の評価については不動産鑑定士による「不動産鑑定」と、不動産仲介業者による「不動産査定」があります。

不動産鑑定不動産査定
専門資格を持つ人による公的な評価のこと。
複雑な手続きや法的な手続きが伴うため少しハードルが高め。
不動産仲介業者、不動産会社により不動産の価値や価格を判断すること。
不動産鑑定に比べて低コストで手軽に行えるのが特徴。

不動産鑑定の場合、専門資格を持つ人により不動産の評価が行われます。

複雑な手続きや法的な手続きが伴うため、不動産の知識が少ない方にとってはハードルが高いといえるでしょう。

一方、不動産査定は不動産仲介業者、不動産会社の経験やデータに基づいて「どのくらいなら売れるか」を判断します。

民間業者に価格査定を依頼するので、車の買い取りなどと同じように複数の不動産仲介業者に査定を依頼する「相見積もり」を取ることができます。

一般的には手軽に行える不動産査定を選択する方が多いですよ。

不動産鑑定についての補足

不動産鑑定書は社会的信頼があり、売却時の買いたたきを防ぐことができます。
正式な不動産鑑定には数十万円以上の費用がかかりますが、簡易鑑定なら10万円前後で依頼できます。
大型物件では正式鑑定が必要ですが、実家の売却などの場合は、簡易鑑定でも十分です。

売却準備②売却のための実家のリフォームやクリーニング

実家 売却

実家が少しでも高く売れるために、リフォームやクリーニングを行うことも大切です。

売却後、不動産仲介業者や不動産会社の場合、独自にクリーニングを行いますが、少しでも見栄えをよくするためにはクリーニングを入れた方が良いでしょう。

不動産仲介業者を利用する場合は、提携するリフォーム業者を紹介してもらえる可能性もありますよ。

もちろん、不動産仲介業者はそこからもマージンを取るので高めになります。

リフォームやクリーニングを検討している方は、不動産仲介業者などや専門業者に確認してみましょう。

売却準備③実家を処分・売却するのに必要な書類を集める

実家の処分、売却にあたっては以下の書類が必要になります。

不動産は登記しなければならないものですので、現在の権利関係がどうなっているか公的に証明できる書類が必要です。

必要書類
相続登記完了証
登記識別情報通知
実家の権利が親から自分に移転したことを証明する登記。
司法書士や弁護士の方が手続きを行い、相続登記完了証と登記識別情報通知というものを受け取ります。
不動産の登記簿謄本実家の土地建物の登記簿謄本を付けることで、権利関係や抵当権の状態がわかります。実家が抵当権に入っている場合は、その評価は大きく下がり売却しにくくなります。
親の債務(借入)も相続されるので、その債務が実家と関係していればその解消を優先する必要があります。
固定資産税
納税通知書
市区町村から毎年1月1日現在の不動産評価を基にした固定資産税通知書が届きます。
上記のように固定資産税も実家所有者の義務になります。
実際に自治体が実家の不動産をどのように評価しているかわかります。
親名義の場合もありますが、こちらも添えて出します。
住民票・戸籍謄本など相続人の住民票、亡くなった親の除籍謄本、法務局作成の「相続一覧表」などを提出し、本当に相続によって実家を入手されたのかチェックします。
全部必要というわけではありませんが、不動産仲介業者の指示に従って提出をお願いします。

実家を売却する3つの方法

実家 売却

実家を売却する際の方法や概略、メリットデメリットについて説明していきます。

売却方法①不動産仲介業者を通じた売却

不動産仲介業者を通じた売却
メリット
不動産仲介業者を通じた売却
デメリット
複数の業者に比較検討できる
事前に信用や評判を調べられる
スムーズに売却を進められる
仲介手数料が発生する

不動産を売却する際、まず信頼できる業者を選ぶことが重要です。

業者選びのポイントとして、実績や評判、提案力をチェックすることが挙げられます。

また、複数の業者に相談し、買い取り金額を比較検討するのも効果的です。

不動産仲介業者を利用する最も大きなメリットは、専門知識や業界のネットワークを活用して、スムーズに売却を進められる点です。

実家 売却

一方で、仲介手数料が発生し、売却価格に影響を与える可能性があることがデメリットとなります。

売却価格仲介手数料の上限
売却価格が200万円以下売却価格の5%
売却価格の200万円超から400万円以下の部分売却価格の4%
売却価格の400万円を超えた部分売却価格の3%

不動産の仲介手数料は、売却価格により仲介手数料の上限が定められています。

場合によっては、数百万円単位で手数料を支払うことになる可能性もあります。

無料で一括査定できるサービスを使うと、コストをおさえられますよ。

売却方法②不動産仲介業者を介さず直接売却する

不動産仲介業者を介さず
直接売却するメリット
不動産仲介業者を介さず
直接売却するデメリット
短期間で売却できる可能性がある
仲介手数料を節約できる
不動産売買サイトを使えば、直接購入希望者と交渉できる
希望通りの価格で売れないこともある
修繕の度合いにより購入者ともめるケースもある
自分で交渉や手続きを行う手間がかかる
トラブルがあったとき誰もサポートしてくれない

仲介業者を介さずに不動産を売却する方法もあります。

代表的な方法は「不動産オークション」と「不動産売買サイトを活用」です。

オークションでは、購入希望者が入札し、最も高い価格を提示した人が物件を購入します。

この方法は、短期間での売却が可能である一方、必ずしも希望通りの価格で売れるとは限りません。

また、クリーニングやリフォーム、修繕の度合いによってはもめごとになるケースもあります。

不動産オークション
不動産オークション

不動産売買サイトを活用するメリットは、不動産仲介業者に依頼するよりも安くなるため、仲介手数料を節約できます。

また、不動産売買サイトは直接購入希望者と交渉ができるという特徴もあります。

しかし、売主自身が交渉や契約手続きを行う必要があり、時間や手間がかかる点には注意が必要です。

トラブルがあったとき、自分で弁護士を探さなければならず、結果的にコストがかかってしまうこともあります。

売却方法③不動産買取業者(仲介業ではない業者)への売却

仲介業者以外の業者へ
売却するメリット
仲介業者以外の業者へ
売却するデメリット
売却が迅速に進む
予算の見通しが立てられる
市場価格よりも買取価格が低くなる可能性がある

不動産を迅速に売却したい場合、不動産買取業者に依頼する方法もあります。

買取業者は、仲介業者とは異なり、物件を直接購入するため、売却が非常にスピーディーに進みます

また、買取価格が事前に確定するため、予算の見通しが立てやすい点も魅力です。

ただし、買取価格は市場価格よりも低くなる傾向があるため、希望価格での売却が難しいことがデメリットとなります。

実家の処分を急がないならば、あえて不動産買取業者に依頼する必要はないでしょう。

それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、最適な方法を選び、家の売却を成功させましょう。

実家売却後に行う重要な手続き

実家 売却

実家を売却した後に行う重要な手続きについて説明します。

①売却益に対する税金の計算・支払いを行う

実家 売却

実家の売却で利益が出た場合、その利益に対して所得税(譲渡所得)が課されます。

この税金は売却した翌年に確定申告で申告しなければなりません。

具体的な税率は、所有期間が5年以内か5年以上かで異なり、長期間所有している場合には税率が低くなります。

また、売却益が少ない場合や一定の条件を満たす場合には、控除や減免措置を受けることが可能です。

②控除や減免措置を積極的に利用して税負担を下げる

実家 売却

税法で認められた特別控除や減免措置を利用することで、実家売却による税金負担を軽減することができます。

たとえば、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例や、居住用財産の特別控除といった制度を活用することで、納税税額が大幅に減る可能性があります。

これらの措置を受けるためには、複雑な計算や手続きが必要ですので税理士などに相談し、手続きしてもらいましょう。

税理士に依頼する分、費用がかかりますが節税できる金額も大きいですよ。

売却前後の手続きを確認し、実家を高く、かつ節税して売却できるようにしてください。

自宅売却以外の処分方法

実家 売却

誰も住むことがない実家ですが、売却するだけが処分方法ではありません。

方法次第では、安定した収入が得られる可能性もあるため、ある程度の実家の規模が大きい場合は以下の売却以外の選択肢を視野に入れると良いでしょう。

売却以外の方法①不動産信託を活用する

実家 売却

まず一つは、不動産信託を活用する方法です。

信託とは、実家を信託会社に預け、その管理や運用を任せる仕組みです。

細かい手続きも含めてすべて信託会社にアウトソーシングできます。

信託会社は、物件の運用(貸す)から得られる収益を計算、契約に基づいて分配します。

これにより、手間をかけずに安定した収入を得ることができます。

ただし、不動産屋に管理させる場合と比べて、手間がかからない分収入も少なくなります。

不動産信託は一軒家というより、マンションなどを持つ方が対象ですね。

売却以外の方法②不動産屋に賃貸物件として管理してもらう

実家 売却

次に実家を貸家にし、不動産会社に賃貸管理業を任せる方法です。

賃貸によって定期的な家賃収入を得ることが可能で、売却せずに長期的な利益を享受できます。

ただし、物件の維持管理や賃貸者との契約管理など、継続的な手間が発生する点に注意が必要です。

実家の「大家」になることで、さまざまな手続きが伴います。

自分の体が元気なうちは賃貸に出す方も多いですよ。

これらの売却以外の方法を検討することで、実家を有効活用し、資産価値を最大限に引き出すことが可能になります。

まとめ:不動産仲介業者に一括して実家の処分、売却を依頼するのもあり!

実家 売却
この記事のまとめ
  • 実家売却前に相続の手続きをすべて済ませる
  • 実家の相場を調べるには一括査定が手ごろに行える「不動産査定」がおすすめ
  • 比較検討が可能な不動産仲介業者を通しての売却がすおすすめ
  • 実家の処分方法には不動産信託と、賃貸物件として貸出す方法がある

この記事では親が死亡した後の実家の処理の方法として、家の売却手順や売却以外の方法について解説してきました。

実家を売却することが決まっているなら、不動産仲介業者に依頼するのも1つの手です。

不動産仲介業者ならば、専門家を紹介し、ワンストップサービスで相続登記、名義変更、売却、相続税の納税まで可能になる場合もあります。

急な相続で実家を引き継ぎすることになっても、時間的猶予は比較的あるので慌てずに対処するようにしましょう。

実家の処分、売却以外の方法も考えながら後悔のない取り組みを選択していきたいですね。

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