「古い一戸建てを高く売りたいけど、どうすればいいか分からない…」と悩んでいる方は少なくありません。実際、築年数が経った住宅を売る際、適切な対策を取らないと査定額が低くなってしまうことは多いです。
でも、安心してください。この記事では、古い一戸建ての査定額をアップさせるための5つのコツを詳しく解説します。
古い一戸建てであっても、物件の清掃や小規模な修繕、必要に応じては取り壊しを実施することで売買価格を上げられるため、諦める必要は全くありません。
しかし、何も考えずに売買してしまうと、高く売るどころか、実際の価値よりも安く買い叩かれてしまうリスクもあるのが事実です。
最後には「古い一戸建てを売る際に気をつけるべき注意点」についても解説しているので、あわせてチェックしておきましょう。
はじめに:古い一戸建てを売るための基本的な流れ【全てで8STEP】
まずは、古い一戸建てを売却する際の基本的な流れについて見ていきます。
大まかな手順を事前に知っておくと、いざという時に冷静な判断ができるため、要チェックです。
その基本的な流れというのが、以下の8STEPになります。
- 情報収集する
- 不動産業に査定を依頼する
- 媒介契約を締結する
- 売却方法を選ぶ
- 売却活動を開始する
- 売買契約を締結する
- 物件を引き渡す
- 売買で得た利益を確定申告する
ひとつずつ見ていきましょう。
STEP①:情報収集する
不動産売却の第一歩目としては、物件に関する情報や市場動向を調査することから始めましょう。
不動産売却全般に関する基礎知識や一戸建て住宅の売却相場を調べておくことで、不当な値段で買い叩かれるというリスクを減らせるからです。
一戸建ての売却相場を調べるなら、「レインズ」や「不動産購入サイト」などを使うのがおすすめです。
余裕があれば、自宅の築年数や面積、設備の状態、周辺環境などの馬脚する住宅に関する情報も整理しておくと便利でしょう。
また、情報収集と同時に「なぜ一戸建てを売却するのか?」という目的を明確にしておくことが大切です。不動産売買は目的によって売れるまでの期間や売却価格が変動します。
自分の資産状況などを考慮して「なぜ今、一戸建て住宅を売却したいのか?」という目的をはっきり軸として持っておきましょう。
STEP②:不動産業者に査定を依頼する
事前の情報収集を終えて、一戸建て売却に関する考えがまとまったら、次は不動産業者に査定を依頼しましょう。
査定の際には複数の業者に査定を依頼し、相見積もりを取ることをおすすめします。
なぜなら、3〜5社程度の査定を受けることで、査定額同士を比較して正確な査定価格がわかるからです。
査定方法には簡易査定(机上査定)と訪問査定があります。
簡易査定はWEBページから個人でも実施できるため、不動産業者には訪問査定をメインで依頼しましょう。
また、査定を依頼した業者のなかから媒介を依頼する業者を選ぶことが一般的なので「どの不動産会社が信頼できるか」という観点で業者の方とコミュニケーションを取ることも忘れないでください。
そうすることで、査定金額の相見積もりを取りつつ、優良な不動産会社を見つけることができます。
不動産業者に査定を依頼する際にやるべきことはたくさんあります!
STEP③:媒介契約を締結する
査定金額の見積もりをしてもらいながら、信頼できる不動産業者を選んだら、その業者と媒介契約を締結します。
媒介契約は、不動産会社に売却を正式に依頼し、買主を探す手助けをしてもらうための契約です。
媒介契約には3種類の形式がありますが、それぞれに一長一短の特徴があるため、自分の不動産売却目的に適した媒介契約を締結しましょう。
メリット | デメリット | |
①一般媒介契約 | 複数業者と契約できる | 販売活動が積極的ではない |
②専任媒介契約 | より積極的な販売活動が期待できる | 複数業者と契約できない |
③専属専任媒介契約 | より積極的な販売活動が期待できる | 複数業者と契約できない/自己発見できない |
STEP④:売却方法を選ぶ
媒介契約を結んだら、不動産会社と相談して適切な売却方法を選定します。不動産の売却方法は主に以下の6つが挙げられます。
- そのまま売りに出す
- 建物を取り壊してから売る
- 瑕疵担保保険を付保してから売る
- リフォームして売る
- 空き家バンクに登録する
- 不動産買取を利用する
それぞれの売却方法についての説明は割愛しますが、物件の状態や売主の希望に応じて、適切な売却方法は変わります。
よく使われる手法は「そのまま売却」「リフォームして売却」「買取」の3種類です。
すべての手法ごとに得られる利益を事前に計算し、不動産業者と相談しながら自分に合った最適な売却手法を探してみてください。
STEP⑤:売却活動を開始する
次に、売却活動を開始します。媒介契約を結んだ不動産業者は不動産売却のプロのため、個人の活動範囲を超える販促活動が行えます。
契約の説明や申込みまで担当してもらえるので、STEP④まで終わったら、あとは不動産会社に任せてしまう方が良いです。
不動産会社からお願いされたことに対して対応していれば、自然と物件の売却活動が展開されていくのでご安心ください。
STEP⑥:売買契約を締結する
業者の販促活動により、物件の買主が決まったら、売買契約を締結します。
業者が用意する契約書なので基本的には問題ありませんが、不備などがないかを十分に確認したうえで契約しましょう。少しでも不明点や疑問点がある場合は、担当の不動産業者に問い合わせたり、不動産に強い弁護士へ相談するのもおすすめです。
双方が合意した上で契約を交わしたら、不動産会社より重要事項説明という詳細な物件説明が行なわれ、買主から手付金を受け取ります。手付金を受け取った段階で、売却の意思の表明になります。
STEP⑦:物件を引き渡す
売買契約を締結した後は、契約通りに取引を進めるのみです。
契約で定めた引き渡し日に買主に物件を引き渡しましょう。ただし、こちらも媒介を担当する不動産業者が行ってくれますので、そこまで心配する必要はありません。
物件を引き渡す前には、残置物の撤去や清掃を行って、約束した状態で物件を渡せるように準備することが大切です。引き渡し当日にはその他の水道・ガス・電気のメーター確認や、鍵の引き渡しなども行われます。
すべての手続きが完了したら、売買代金の残金を受け取り、物件の引き渡しが完了します。この時点で、所有権が買主に移転します。
STEP⑧:売買で得た利益を確定申告する
不動産の売却で利益が生じた場合は、確定申告を行う必要があります。売却した年の「翌年2月16日から3月15日」までに申告しましょう。
譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて計算されます。
また、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得として扱われ、税率が異なるため、その点についても不動産業者に予め相談しておくことをおすすめします。
物件によっては特別控除や特例措置を利用できる場合もあるので、税理士に相談するなどして適切に申告を行いましょう。
以上が、一戸建て住宅を売却する際の大まかな流れでした。次に、古い一戸建て住宅を売る際の査定額・売却額を上げる方法を解説します。
古い一戸建て住宅の査定額・売却額を上げる5つのポイントとは?
「ほったらかしの実家を売却する」「そろそろ新しい家に引っ越す」などの理由から、築25年、50年といった古い一戸建て住宅を売却したいという方は少なくありません。
しかし、古い住宅とは言え、売却金額はできるだけ高い方がいいですよね。
そこで、この項目では古い一戸建て住宅の査定金額・売却額を上げるポイントを計5つ解説します。
- 物件の清掃・整理整頓を行う
- 小規模な修繕やリフォームを行う
- インスペクション(住宅診断)を実施する
- 測量について確認する
- 複数の不動産業者に査定を依頼する
これらのポイントを押さえておけば、古い一戸建て住宅であっても高い金額で売却できる可能性が高まります。
ポイント①:物件の清掃と整理整頓を行う
物件の第一印象は査定額へ大きく影響します。しかし、築年数の古い物件だと外見をキレイにするのにはお金も時間もかかってしまいます。
そこでおすすめなのが、家の中の清掃です。ハウスクリーニング等を利用した清掃には、いくつかのメリットがあります。
ハウスクリーニングなどを利用して物件を清掃することで、内覧者の数の増加が期待できます。築年数が何年であれ「家自体がキレイであれば問題ない」と考える人は少なくありません。その結果、売却が早期に決まりやすくなるため、ハウスクリーニングには一定のメリットがあると言えるでしょう。
ただし、査定金額・売却額への影響は限定的です。『急いで現金化したい』などの希望がある場合は、ハウスクリーニングの利用も検討する価値があります。
内覧時は、特に水回り(キッチン、バスルーム、トイレ)の清潔感が重視されるため、汚れや臭いがないことを確認し、物件の良い面をアピールしましょう。
ポイント②:小規模な修繕やリフォームを行う
古い家を高値で売却する手法のひとつに、家の一部分だけをリフォームして価値を高めるというものが挙げられます。古い一戸建て住宅の場合、どうしても経年劣化によるダメージが査定額を下げる原因になりますが、ダメージが目立つ部分だけを修繕することでコスパ良く物件の価値が高められるのです。
もちろん、リフォーム費用がリフォームによって高められる価値を上回ると損をしますが、事前に計算したうえで適切なリフォームを実施しましょう。
ただし、古い家の購入を希望する方のなかには、自分好みにリフォームしたいという方も少なくありません。
「売却する家のニーズがどこにあるのか」は当事者だけでは判断しにくい部分もあるので、まずは不動産業者に相談してみましょう。
ポイント③:インスペクション(住宅診断)を実施する
インスペクション(ホームインスペクション)とは、専門の住宅診断士が物件の状態を詳細にチェックすることです。専門家によって行われるインスペクション調査によって、物件の透明性を高め、信頼性をアピールできます。
特に古い一戸建て住宅の場合、買主は物件の状態に不安を感じやすいです。その結果、購入するという決断にまで至らない顧客も多いため、インスペクション調査でその不安を払拭しましょう。
インスペクション調査によって「合格」の証をもらえれば、売却額アップと早期の売買契約締結が期待できます。
ただし、インスペクションの実施自体に義務はありません。
あくまでも売主と買主の任意(自由意思)で行われるため、費用対効果を検討したうえでご利用ください。
ポイント④:測量について確認する
物件の測量を行うことでも、想定よりも高い売却金額を得られる可能性があります。
測量とは、正確な土地の面積を測定する作業です。このように聞くと「すでに登記簿に面積は記録されているのでは?」と思われるかもしれません。
実際、登記簿には面積が記録されていますが、記載されている面積が必ずしも正確であるとは限らないのです。特に隣地との境界が明確でないことも少なくありません。
よくある事例は、ブロック塀などを境界と認識していても、実際には境界標が確認できないケースです。
そのため、「確定測量図」や「境界確認書」を確認することが大切になります。
確定測量図とは境界が確定された状態で測量された図面であり、境界確認書は隣地所有者との合意に基づく書類です。これらが手元にない場合は、土地家屋調査士に依頼して測量を行うことをおすすめします。
買主側の立場に立ってみても、測量を行った土地の方が安心感があるため、売却金額、売買が決まるまでのスピードを上げるためにも測量を活用してみてください。
ただし、測量もインスペクション同様、売主に定められた義務ではありません。
また、測量の実施には目安として2〜3ヶ月ほど時間がかかるため、実施するかどうかは不動産会社と相談しながら決めることをおすすめします。
ポイント⑤:複数の不動産業者に査定を依頼する
最後、5つ目のポイントは複数の不動産業者に査定を依頼することです。不動産業者によって査定方法や得意な売却手法は異なるため、複数の査定結果を比較して、媒介を任せたい不動産会社を吟味する必要があります。
不動産業者を選ぶ際にはいくつかのポイントがありますが、以下の3点に注目して不動産業者を比較してみるとよいでしょう。
- 古い一戸建て住宅の売却に強いか?実績はあるか?
- 売却予定の物件のエリアに精通しているか?
- 査定依頼、売却に関する相談への対応は丁寧か?
古い一戸建ての売却実績が豊富な不動産会社なら、そのような物件に興味を示す顧客を抱えている可能性が高いです。そのため、売却する物件と同ジャンルの取引実績の有無は確認したほうが良いでしょう。
上記のポイントは、公式HPに掲載されている過去の実績などを参考に調べられます。
以上が、古い一戸建て住宅の査定金額をアップさせる5つのポイントでした。これらのポイントは複合的に組み合わせることでより効果を発揮するので、実践できそうなポイントから取り組んでみてください。
後悔しない!古い一戸建てを売るときの注意点3選
ここまで、古い一戸建てを売る際の大まかな手順から売却額を高くする方法について解説しました。しかし、古い一戸建て住宅の売却には注意すべき点も多くあります。
それらのポイントを見逃してしまうと、相場よりも安く買い取られたり、高額な売却益を狙ってした行動が逆効果になることもあるでしょう。
でも、ご安心ください。ここでは、古い一戸建て住宅を売却する際に気をつけるべき3つの注意点を解説します。その注意点というのがこちら。
- 取り壊しについては複数の不動産業者に意見を聞く
- 自治体の補助金制度を確認する
- 事前に家財は撤去しておく
できるだけ高く売却することと同時に、実際の価値よりも安く売却しないことも同じくらい大切です。ここで紹介するポイントに注意して、納得のいく物件売買を実現しましょう。
注意点①:取り壊しについては複数の不動産業者に意見を聞く
古い一戸建てを売る際、取り壊しを検討するかどうかは重要な決定事項です。物件の状態や市場の需要によっては、取り壊さずに古い建物を残したまま売却する方が有利な場合もあります。
しかし、そのような決断を個人でするのは簡単ではありません。また、1つの不動産業者の意見を聞くだけでは、その考えの妥当性も検討する余地がありません。
そこで、おすすめなのが「複数の不動産業者に意見を聞く」ことです。複数の不動産業者から話を聞くことで、取り壊しの必要性やその影響について多角的な視点から判断できます。
例えば、5つの業者に話を聞いたときに1つの業者は「水回りだけをリフォームした方が高く売れる」と提案する一方で、他の4つの業者は「取り壊して土地として売った方が良い」とアドバイスするかもしれません。この場合、4つの業者が推奨する施策のほうが効果的である可能性が高いです。
もちろん「同じ意見をする人が多い=正しい意見」であるとは限りませんが、1つの指標にはなることは確かです。
取り壊しについては一度してしまうと元には戻せないため、複数の業者の意見を客観的に比較して、慎重に検討してみてください。
注意点②:自治体の補助金制度を確認する
古い一戸建てを売却するときに物件をそのまま売買するよりも、取り壊しや一部分を修繕・リフォームして売買するほうが一般的です。その際に、各自治体が提供する補助金制度を最大限活用することでコスパ良く建物を修繕できます。
自治体によって補助金制度の種類・内容は異なりますが、古い住宅のリフォームや解体に対する補助金制度が設けられていることがあるため、自治体のホームページや窓口で詳細を確認しましょう。
これらの補助金を上手く利用することで、リフォームや解体にかかる費用を抑えながら、物件の価値を高められます。
注意点としては補助金は「自治体」が実施していることです。「国」が行っている補助金制度は存在しないため、自治体によってはそのような補助金制度がない場合もあります。
例えば、東京の新宿区であれば「木造住宅密集地域における不燃化建替え促進事業」という補助金制度が用意されています。この制度では、木造住宅の解体や除却工事、新築、不燃化建替え工事をする方々に対して、50万~300万円を助成してくれます。
この補助金制度で全ての出費を賄えるわけではありませんが、利用できる制度は全て活用するぐらいの気持ちで情報収集するとよいでしょう。
注意点③:事前に家財は撤去しておく
古い一戸建てを売却する際、事前に家財を撤去しておくことは重要な準備作業のひとつになります。なぜなら、家財が残っていると、内覧時に買い手が物件の広さやレイアウトを正確に把握できず、物件の魅力が伝わりにくくなるからです。
また、不動産業者から買取を断られたり、解体工事会社に解体を断られたりする可能性もあります。
そのため、売却の意思を固めた時点で不要な家財は全て撤去しておきましょう。
家財を撤去すると物件をくまなく清掃できるため、内覧時に清潔で広々とした印象を与えられます。また、売却後の引き渡しをスムーズにしてくれるメリットもあります。
売主目線でも家財の撤去は事前に終わらせておくべき作業になるので、担当の不動産業者とも相談しながら、前もって作業に取り掛かるのがおすすめです。
一戸あたりの家財の廃棄量は、一般的に4トントラック1~2台分のボリュームになり、個人で処分できる量ではありません。業者へ依頼した場合には、一般的に10万~25万円程度かかります。
これは必要経費と捉え、早めに家財の撤去を行うことを推奨します。
以上が、古い一戸建て住宅を売却する際に注意すべき3つのポイントでした。
まとめ:古い一戸建てをできるだけ高く売るには、不動産業者選びが大切
今回は、古い一戸建てを高く売る方法について解説しました。
「実家はもう古いから…」などの理由で、高額な売買取引を諦める必要はありません。
築年数が古い場合でも、取り壊しや一部分のリフォーム、インスペクションを実施することで、想定よりも高く売れる様になるケースは多数あります。
本記事で紹介した売却までの流れに沿って作業を進め、高価買取を実現しましょう。